Taisuki Café

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台湾の客家村、あまり知られない新ブーム

先日、台湾の苗栗と新竹へ客家村巡礼の旅に行って来ました。客家料理の美味しさは私に言わせてもしょうがないですが、(日本女子の一人旅小吃のミキコさんが食欲そそる文章を執筆しました。よかったら、ご参照ください)台湾の客家村で様々な興味深い体験をして、終始ワクワクした旅でした。

台湾の藍染:新しい産業の可能性を目指す苗栗三義の「卓也小屋」

「卓也小屋」を訪ねて行った日はあいにくの雨の日でした。ここは、健康志向の自然食をコンセプトにしているレストランと台湾の伝統家屋を改装した民宿、藍染工房が揃った三位一体の台湾中部の観光名所。

オーナーの卓銘榜さんは微笑みながら、自分の藍染に対する愛情を語ってくれました。
大学時代は園芸学専攻で、一通り植物学の知識を勉強しました。卒業後、それらの専門知識を活用したいと、政府の観光農園への補助制度も利用し、苗栗で土地を購入し、藍染の工房を始めました。藍染は昔ながらの染色方法で、1850年代に台湾の藍染は全盛期を迎えましたが、その後衰退の一途をたどって、誰もこのような大変な仕事をしなくなりました。藍染の原料、大菁は一時期幻の植物になってしまっていましたが、卓さんの藍染の師匠でもある馬さんが、山の中の大菁を見つけて、栽培することに成功しました。

左上から時計回り:「まるで宮崎駿のアニメの森、ここは入り口」、「棚田を利用する染料などを栽培」、「オーナーのたくさん」、「看板猫」、「青色が出る大菁という植物」

「今流行りの、いわゆる『花布』と異なり、自然のものを使っています。草木や花、染料に使える素材は意外と多いんですよ」。自家栽培の染料素材畑を案内してくれた卓さんは、子供のように目がキラキラして、様々な植物とそれから生まれる色を説明してくれました。「これは、クチナシです。黄色い染料を抽出でき、よく食べ物の植物性色素としても使います。これは、私たちの一番大切な大菁藍草です。苗栗の山は、霧が多くて、昔は棚田として使われていた場所です。今はとても地価も低いんですが、大菁の栽培に最適な場所です。」広々とした染料の畑は600坪ぐらいあって、目の当たりするのは青々しい藍草で覆われていました。

「私たちは藍染を使って一回だけで終わる観光体験を広めたいわけではなく、藍染の産業化の発展を目指しているんです。いい染料を生かして安全な服を作りたいですね。」
確かに近年、台湾のあちこちで体験型観光イベントがブームとなり、子供達に藍染を体験させるレッスンもたくさんありますが、「産業化しないと、勿体無いではないか」という卓さんの言葉に、私は心打たれました。オーガニック栽培で、安全で美しい染料を作って、質の良い服を創作するのが、卓さんの目標です。「私は台湾の藍染のブランドを作りたいです。これで儲かるのはまだまだ分からないですよ。民宿とレストランの儲けで藍染の損を補っている状態なので。」と苦笑しながら言いました。卓さんの三位一体は、三分の二の売り上げで、大きな夢を支えているんですね。

卓也小屋
住所|苗栗縣三義鄉雙潭村13鄰崩山下1-5號
電話|+886(0)37-879198
E-mail|joye879198@hotmail.com.tw
アクセス|平日(月〜木)三義駅から送迎あり。サイトをご参照ください。
静かな客家村に初めてできたバー:メニューの無い「芳山農吧」

店主兼バーテンダーの阿山は落ち着いた顔で今晩のはじめてのカクテルを作っていました。
ここは苗栗の「南庄」に位置し、都会から故郷に戻って来た―Uターン青年は、近所の農家の無農薬の食材を使って、ここしかないオリジナルの一杯を創作してくれます。
「五葉松のカクテルです。飲んでみて」と言われたのは、美しい緑色のカクテル。「これは、すごいぞ…」飲んですぐに伝わってきました。松の香りってわかりますか?草系の清々しい香りがあって、それに新鮮なレモン果汁を加えて、ベースはウィスキー。うん、とても美味しい。斬新な味わいですが、青臭くなく、ただただ新鮮な味わいが爽やか。
二杯目は紫蘇のカクテル。紫の魅惑。

熟練した動作を繰り返す阿山に、「もともとカクテルに興味あったんですか?」と尋ねると、「いや、店を始める前は全くの素人だった。」と答えます。「では、なぜカクテル作りを始めたんですか?」と問うと、彼は手の動きを止めず、「故里に戻りたいと思ったからですね。故郷で何かやりたい、農村にはまだない何かを始めたいと考えました。苦慮の結果、このバーを開きました。だから今でも毎日練習漬けです。」

客家村には十三間老街というストリートがあって、美味しい客家料理のレストランと客家料理で欠かせない食材の店が並んでいます。週末の昼間にはたくさんの観光客が訪れて来ますが、夜になったら町が一気に静まり返ります。「観光客は皆、ここでちょっと客家料理を食べてすぐ行ってしまう。でも、バーを作れば、新しい休憩所が出来て、新しい文化を生み出す。」と阿山が自分のアイデアを語ってくれました。

バーという夜の拠点だけではなく、現地のオーガニック食材を使った阿山のカクテルこそが新しい文化なのかもしれません。季節の食材によって、また新しいカクテルが誕生し、いつ訪れても新鮮な味わいを楽しめるのもポイント。
「芳山農吧」にはメニューがありません。メニューの無いバーなんてあるの?!と思いますが、店に入ったら、阿山はお客様とおしゃべりをしながら、一人一人の好みを把握して、旬な食材を使って、ここならではのカクテルを用意してくれるんです。

芳山農吧(名前はオーナー夫婦「阿芳」「阿山」の名前から)
住所|苗栗縣南庄鄉中山路140號(康濟吊橋旁)
電話|0980890860
営業時間|18:00~02:00、基本は木曜日定休。
アクセス|バス停「南庄」から1分
愛するあの人のため、自然のため:オーガニックの「醸造酢」

一心不乱に猛開発を進めた時代が過ぎさり、盛んに自然環境と人間の調和が叫ばれる昨今。開発の弊害を受けた場所では、今もなお台湾で「反五軽」、「反亞泥」などの抗議運動が行われているのが現状です。

(↑↑↑今年台湾最大の音楽賞金曲賞の「評審團獎」を受賞した客家バンドの生祥楽団です。環境破壊を音楽で抗議する彼らの音楽は、本当に素晴らしい。中には、大竹研、早川徹、福島紀明の日本人楽手も。)

一方、新たなる農業運動も盛んになり始め、例えば、自然栽培を志す若者たちが、都会から郷里に戻る(いわゆるU-ターン)「小農」たちが注目されています。

苗栗の「唐婆酢」の唐鴨さんと唐婆さん夫婦もそのU-ターン族の中の1組で、台北で知り合った二人は結婚し、現在は苗栗の地で、芸術作品と健康飲料の「果実酢」を作っています。ここの果実酢は一般的な果物をお酢に漬けたフレーバー酢と違い、「唐婆酢」の製法は、果汁を自然発酵させて作る本物の果実酢。果実を発酵させて、人間の体が吸収しやすい小さな分子にするため、時間も掛かり、発酵具合のコントロールも複雑、さらに原材費も高く付きます。

「でも、なぜ果実からの発酵にこだわるんですか?」と尋ねると、奥さんの唐婆さんは「夫は胃の病気に患っていて、私は生物学の修士を取得しており、自分の専門知識で夫の健康維持のためになればとこの製法を始めました。自分が積み上げてきた科学の知識で良いものを作ることができて嬉しいです」


ここのお酢に使う食材も、付近の小規模の農家(小農)からの仕入れており、五葉松、オリーブ、ポンカンなど、できるだけ無汚染で、製作の過程でも無添加に努めています。発酵食品で体を綺麗にすることと、東洋医学の食療を融合させた、「唐婆酢」の新しいお酢文化は要チェックです。

唐婆酢
入手|ここで買えます。

台湾で一番短い「老街」:三坑老街の「ある風景」に魅了された

台湾には、老街と呼ばれるストリートが多くあります。淡水老街、新荘老街、頭城老街など、いずれもずっと昔に栄えた商店が立ち並ぶのストリートで、交通の便がよい立地に、人や店が自然と集まり、市場ができて、賑やかな場所へと栄えていきました。しかし、人々の生活が進化するとともに、水運の時代から、鉄道の時代に変わり、新しい街が出来て、昔の盛り場は「老街」(古いストリート)と呼ばれるようになりました。しかし、新しいものと古いものが交差する「老街」観察は大変興味深く、建築遺産やそこに住む人々の生活があって、さらに繫栄した時代の名残を見つけることが老街散策の醍醐味だと思います。

今回訪れた「三坑老街」は桃園の小さな客家村にあり、清時代から繁盛し、水に恵まれた場所で、まるで桃花源のように、こぢんまりして気持ち良い町です。客家の伝統建築があったり、客家伝統食の「菜包」名店もあり、現在も週末には菜包を買い求める客で長蛇の列を作ります。一般的な肉まんの生地とは異なり、お餅のようなモチっとした生地で中の餡を包んでおり、とても美味しいんです。

そして老街の定番、中心部にはこの地に住む人々の信仰の中心、永福宮というお寺があります。もともと大正時代に建てられた古刹でしたが、老朽化のために最近リフォームされました。キラキラと絢爛豪華になり、昔の趣はなくなりましたが、かえってなんだか装飾芸術的なユーモアが感じられるようになりました。

お寺の中で撮影をしていると、外から楽しそうな音楽が聞こえてきて、ふと見ると、なんとお年寄りたちが元気に体操をしているじゃないですか?!


現地の人に聞くと、高齢化の村の年寄りたちを孤立した気持ちにさせない方法を皆で考えて、週一回お寺の前で体操をしながら、お互いの安否を確認するのがいいんじゃないかと行きついたんです。そして健康のため一時間ぐらい体を動かしたらいいと。体操の後、現地のボランティアさんが、会食の料理を用意して、皆で一緒にランチする。

街の人たちの団結力と温かさが心滲みる老街です。

寄稿者情報

looky
編集部の猫です。
台湾大学中国語中国文学研究科で修士号を取得。東京大学アジア文化専攻 博士課程満期終了。
オンライン旅マガジン「旅飯」の編集者を経て、現在は「taisuki.cafe.network」の編集長を務める。

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